「人は本当のことを言われると怒る」という言葉のズルさ

人は本当のことを言われると怒る、という。まあそりゃあ痛いところを突かれたら怒ったりもするよね。しかしこの言葉のズルいところは「相手が怒ったからこれは本当のことなんだ」と勝手にひっくり返し、主張しやすいところだ。

 

もちろんそれは間違っている。この理屈は怒るか怒らないか、正しいか正しくないかしか基準がないからだ。だいたい、人が皆本当のことを言われた時に必ず怒るわけではない。自分勝手な理屈や屈辱的な言葉に怒りを感じることもあるだろう。

 

返す言葉が見つからない時、私は心の中で自分の世界から相手をシャットアウトしている。怒っていることすら悟られたくないという気持ちもあるが、相手をシャットアウトすると決めると自然とすっきり爽快な気持ちになるのだ。そして相手の吐いた屈辱的な言葉も私には無関係なものとなって消えていく。そして私の内心がどうかなんて知ることもない相手は「やっぱり自分の方が正しいのだ」と満足気だ。

 

自分とは違う考えや感じ方、価値観などは「受け入れるかどうか」ではなく「その存在を認められるかどうか」だ。嫌いなものは嫌いなまま、無駄に衝突しないようにうまく棲み分けていくしかない。私はそっちを攻撃したりしないから、そっちも私のことを一方的にこうだと決めつけ、勝手に評価を下すのをやめてくれ、と思う。君たちは自分が大事だと思うものを大事にすればいい。私は私で全然違うものを大事にしているだけだよ。